長崎オランダ村

2004年11月23日 小説
村上龍の作品の中ではかなりうずもれてる感のある本作ですが、個人的にはベスト10に入れていい物なんじゃないかと思っています。

内容をざっくり説明しますと、村上龍の分身であるケンが、実家のある佐世保に戻って旧友のナカムラと会います。
ナカムラは長崎オランダ村のイベンターをやっていて、そのときの苦労話なんかを美味しいものを食べながら語ってくれます。

・・・・・だけ。これで小説になるんか?てな内容ですが、充分なってます。
小説の中で、いろんな国の人たちが長崎に出稼ぎにやってきて、それぞれの国の流儀を固く守って、それぞれ勝手に恋をしたりさみしくなったりしています。ナカムラはイベントの最終日になんとかみんなでもりあがろうと考え、ある歌をうたいます。『let it be』
世界中の人が知っているこの曲を、いろんな国籍をもつ人たちがそれぞれに、思い思いに一つの曲を歌うのを見ていてナカムラは「ビートルズとはこのようなバンドだったのだ」と気づきます。
名シーンだと思います。

ISBN:4062630397 文庫 村上 龍 講談社 1995/08 ¥368

コメント