賭将棋を生業とする真剣師の中でも圧倒的な強さを持ち、団鬼六に「将棋の化物」と呼ばれた小池重明の半生記です。

完全な社会不適合者で、食い詰めていた小池は、団を頼って「鬼六屋敷」にやってきます。何度勝負を挑んでも勝てず、小池に金をむしられつづけた団先生は打倒小池重明のため、アマチュアのトップやプロを差し向けます。
しかし彼らを難なくたたき伏せていく小池を憎々しく思っているうちに、小池の修羅のような強さに、団鬼六は心の中で応援していくようになります。
そして団先生の助力の下、小池にも"プロ棋士”という日の目をみるチャンスが与えられるのですが―


生来の不器用さのため、小池はあらゆる幸せをするすると逃していきます。
小池の圧倒的な才能と、その人生に魅せられた団先生の愛情が文章の端々からあふれ出ています。
団先生の優しい視線と、小池重明の不器用なまごころがとても美しく感じられて、おもわず目頭が熱くなります。
間違いなく名作。


ISBN:4877284591 文庫 団 鬼六 幻冬舎 1997/04 ¥600
えらい面白い本ですよ、これは。
ハイパーネットというITベンチャーの雄がどのように上り詰め、落ちていったかを社長みずからが語っています。
この本を読んでいてすごいな、と思ったのは、筆者(板倉さん)が自分が落ちていく過程をものすごく冷静に書けてる、ということ。
また、意識してかしてないのか、上り詰めている段階ですでに崩壊の目が文章の端々に現れており、それがどのように倒産へと結びついていくのか、手に汗にぎりながらページを先に繰っていってしまいます。
事実は小説より奇なり、とは言いますがやっぱり本物の迫力はすごい。単純に企業サスペンスとしても読める秀作です。

ISBN:4822241300 単行本 板倉 雄一郎 日経BP社 1998/11 ¥1,680
欽ちゃん自身はおもしろくないけど、欽ちゃんの書いた本は面白い。
何といっても、笑いに対する姿勢がおもしろい。
彼は「笑い」というものを完全にパターン化、記号化しようとしてます。

欽ちゃん劇団では笑いの「間」に対する指導が厳しく、確実に10秒をおいて反応しなくてはならないそうで(たしか)、欽ちゃんの秘蔵っこであるはしのえみはどんな状況でもきっちり10秒の間をおくことができるそうです。テレビの番組で検証してました。確かにはしのえみは1秒の狂いもなく間を置いていました。

あの笑いのサイボーグを作ろうとしている欽ちゃんの陰謀はもっともっといじれるんじゃないか、もっといじったらいいのに、と思うわけです。

ISBN:447939074X 単行本(ソフトカバー) 斎藤 明美 大和書房 1999/10 ¥1,470
芸人の中で、文章を書かせたら日本で一番うまいのは浅草キッドじゃないでしょうか。
その中でも「お笑い男の星座」シリーズは珠玉の出来です。
おもに浅ヤン時代の出来事が書かれているだけなんですが、それだけで充分おもしろい。いまさらながらに浅ヤンのクオリティの高さを感じてしまいます。
浅草キッドもう一度いい企画やんないかなー。またロールスロイスで綱引きとかやって欲しいし。

ISBN:4167656507 文庫 浅草キッド 文芸春秋 2003/03 ¥540
ISBN:459404798X 単行本 ゲッツ 板谷 扶桑社 2004/09/23 ¥1,200

出禁上等というかみんなが行きたくもないところをこれだけ行っててえらいなーという感じです。ゲッツは意外と大人だよね。絵は天久聖一なんだけど、この人も自分の顔をうんこにしてるあたりがえらいと思う。