賭将棋を生業とする真剣師の中でも圧倒的な強さを持ち、団鬼六に「将棋の化物」と呼ばれた小池重明の半生記です。

完全な社会不適合者で、食い詰めていた小池は、団を頼って「鬼六屋敷」にやってきます。何度勝負を挑んでも勝てず、小池に金をむしられつづけた団先生は打倒小池重明のため、アマチュアのトップやプロを差し向けます。
しかし彼らを難なくたたき伏せていく小池を憎々しく思っているうちに、小池の修羅のような強さに、団鬼六は心の中で応援していくようになります。
そして団先生の助力の下、小池にも"プロ棋士”という日の目をみるチャンスが与えられるのですが―


生来の不器用さのため、小池はあらゆる幸せをするすると逃していきます。
小池の圧倒的な才能と、その人生に魅せられた団先生の愛情が文章の端々からあふれ出ています。
団先生の優しい視線と、小池重明の不器用なまごころがとても美しく感じられて、おもわず目頭が熱くなります。
間違いなく名作。


ISBN:4877284591 文庫 団 鬼六 幻冬舎 1997/04 ¥600

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