んー・・・。とりたてて悪いわけでもなく、かといって良いわけでもない。
そんな作品でした。
この作者の持ち味は、デビュー作「邪馬台国はどこですか?」に集約されているように思います(たいして読んだわけじゃないけど)。
歴史に対する新解釈をバーでだべりながら語る、そういうコンビニで売ってそうな薀蓄本みないなものを書かせたら、右に出るものはなかなかいない人です。もちろん最初に読んだのが「邪馬台国〜」だという先入観でもって書いてますが。

さて、本作についてです。

米臨床心理士と伝説のサイコセラピスト、そして美貌の女会計士が繰り広げる、クライエントとのユーモア溢れるドラマ。伝説のセラピスト・波田先生の涙が落ちるとき、不思議なフシギな推理がはじまる…。

ってな内容でした(アマゾンからのコピー&ペースト)。
本作は8章からなる短編集です。作者の文章はとても軽くて、あんまり抑揚がないので、短編にはぴったりです。心理学に対する薀蓄もあるし、キャラもそれなりに立っているように思えるのだけれど・・・。

「一見なになにの症状に見えますが本当はなになになんでしょう?」
「えっ!先生どうして分かったんですか!」
みたいなことを延々やられても、さすがに飽きます。すごくフェアな手がかりから症状を判定していってもらえれば、セラピーの部分を真面目にやってもらえれば、それなりに楽しめたのだろうけれど、その部分が、ギャグというかユーモアというか屁理屈で楽しませるような作りになっているので、通して読むと疲れます。

悪口も書いたけど、この作者は遊び心を忘れない作品を作るので、すごく好きな作家の1人です。
ので、次に期待。

ISBN:4396207123 新書 鯨 統一郎 祥伝社 2001/03 ¥860
探偵が警察より優先捜査権を持つパラレルワールドのイギリス。
そこで探偵皇・クリストファー卿が殺された。
犯行現場は密室。そこにいたのは記憶を失った"私"だけ。
犯人はイギリスの探偵を次々と殺している殺人鬼"猫"であることは分かっている。
はたして"私"が"猫"なのか―。
警察の手にかかれば、その場にいた私が犯人にされてしまう。
"私"は探偵士に真相の解明を依頼することにした。
3人の優秀な探偵士の中から誰に捜査を依頼すればいい?

といった内容。
読者が3人の探偵の内から1人を選んで話を進めていくようになってます。なんかゲームブックっぽいな、と思っていたら、あとがきを読むと、もともとがゲームブックだったのを長編小説のような形に直したものらしい。

試みとしてはすごく面白い。
ただ、物語の最後の方で現実世界とヴァーチャル世界との区別がつかなくなるところが、さすがに古臭い、と思ってしまった。10年以上も前に書かれたものなので仕方ないのだろうけど。

もう一点、最終的にこの小説では話を収束させているのだけれど、選択がパラレルである以上、真相ももっとパラレルなものであっても良いのではないかと感じた(ネタバレになるので、あいまいな書き方でごめんなさい)。

ISBN:4062739615 文庫 山口 雅也 講談社 2004/02 ¥750

あけおめ

2005年1月1日
正月ぶとりするわー。
2004年を読書で振り返ってみると、滝本竜彦と西尾維新を読んだ年だったような気がする。たぶん気がするだけだろう。11月以降に読んだから記憶が新しい、という理由だけなんだろうな。
でも、滝本竜彦は良かった。超人計画は3回読んだもんな。
この人の書く会話は、ものすごく躁的で独特なので、これからもっと作品を出して楽しませて欲しい。
あと、西尾維新も最初の方の作品は、実は「戯言」ってあんまり好きじゃないんで、どうなんだろコレ?と思ってたけど、全作読み進めていったら、「魔法少女りすか」あたりまでくるとかなり思想的に成熟していってて、娯楽作品としてかなり普遍的なものに近づいていってると思う。
これからが期待。「りすか」の自分にない能力をもつ敵と戦う時の心構え、みたいな考え方はとても良かった。毛嫌いしてる人も、これだけは読んで損はないと思う。

しかし、ほんとに2004年の前半なにやってたんだろう。忘れたなー。
こうやって日記つけといたら忘れなさそうなんで、来年も続けていこう。うん、そうしよう。

Zの悲劇

2004年12月29日 ミステリ
最後の犯人当てがものすごく面白い。
容疑者がひとりひとり外されていく描写はとても素敵。
マイ・フェイバリット・ミステリシーン。

最後に犯人を指摘するときの「あらあら何か誤解を招くような書き方しましたかね、そんなことありませんよね、犯人は明らかなんですから」みたいな書き方にしびれます。大笑い。
ベタですけどクイーンで一番好きな作品かも知れません。

ISBN:4488104037 文庫 鮎川 信夫 東京創元社 1983/04 ¥651
ふざけたタイトルの割にまっとうなミステリでした。
気のせい?
職人仕事って感じでした。でもね、個人的にはもっといい加減なものの方が好きです。
こういっちゃなんなんですけど、推理小説なんて暇つぶしなんだから、トリック入れなきゃとか、どんでん返ししなきゃとか、そういったことを義務感みたいにやられるくらいなら、トリックも解決もないくらいの方が良いのではないかなと。
そういえば、確か江戸川乱歩の作品で、解決を書き忘れた作品があったことを思い出しました。このくらいの方が大物感があって好感もてます。
作中作のYMOの薀蓄ミステリを展開させてくれた方が良かったかな、と。

ISBN:4061822470 新書 浦賀 和宏 講談社 2002/05 ¥735
馬鹿な―!と思う。まったく馬鹿げている。こんなことがあってたまるものか。
杉浦のあの手記がもし事実というなら、昭和32年の1月29日の夜、札沼線の車中でピエロが踊り、そののちトイレの個室にこもってピストル自殺し、しかしその死体は一瞬ののちに煙のように消えうせ、そののち、鉄道跳込み自殺で首を失った死体がむっくりと起きあがってふらふら歩きだし、さらには、この死体が置かれていた一号車両が、突如天に向かって持ちあがり、645列車は脱線したということになる。こんな奇妙なおとぎ話を、いったい誰が信じるというのか。
                          (本文より)

素晴らしいの一言。こんな社会派!ミステリを書けるのは、島田先生以外にはいないとおもいます。なんか謎が不思議すぎて笑っちゃいます。でも最後にはすべてなんとか収拾つける。
ミステリ界屈指の豪腕、ではないでしょうか。

ISBN:4334716628 文庫 島田 荘司 光文社 1993/03 ¥700

兎 1

2004年12月23日 漫画
たぶん有名な麻雀マンガです。
おととい暇だったときに全巻大人買いしてしまいました。

「zoo」と名乗る代打ち組織の戦いを書いた話です。
zooのメンバーはすべて動物のコードネームで呼ばれます。

リーチをかけたら必ず裏ドラが乗るジャッカル
どんな局でも必ず役萬手が入るゴン
野性の力で当たり牌を感じることができる兎

など多士済済のキャラたちが出ます。

話は多少雑な感じがしますが、麻雀マンガの王道らしく、雀士の格好良さみたいなものが描けてるので、飽きさせることはありません。

麻雀マンガって、だいたい「麻雀を打つ」ことを書きつづけなきゃならないんで、特殊なルールで打ったりとか、超能力的な力を持っている敵が現れたりとかで、中だるみを防いでゆくことが多いんじゃないかと思いますが(そんなに知らないんで違ってるかもしれません)、「兎」ではコンビ打ちの組み合わせの面白さを作り出し、それで話を引っ張っていっているのが特徴的です。
あと、基本的に2対2のチーム戦なので、メインキャラクターがくるくる変えられるのも、話にメリハリがつけられてて良いように思いました。

ISBN:4812451221 コミック 伊藤 誠 竹書房 1997/02 ¥590
けっこう面白かった。
良かった点を2点挙げてみたい。

一つは、この小説全体に独特の不思議なリズムみたいなものがあること。
作者があとがきで、今でも自分が高校に通う夢を見る、と言っているのを読んでとても納得した。そんな夢の中の話のようなリズム。

二つ目は、構成がとても綺麗であること。
この話は5人の視点で一つの事件の側面を語られている。最初の視点、啓司は、ブギーポップとの出会いによって「人類に危機が迫っている」ことを知り、また、それがいつの間にか「すべて解決」していることを知らされる。
完全に蚊帳の外だった啓司の視点から、視点が変わるたびに、ひとつひとつ薄皮を剥くように「何が終わったか」を読者も知らされてゆく。

さすがにそれなりに名の通った作品らしく、読ませる力は充分。
ただ欲を言えば、中・後半部分まで読めばだいたいどんなことが起きたかは把握できてしまい、肝心の事件のところにサスペンスを感じられないのが残念。サスペンスを最後まで引っ張るトリックの一つでもあればよかったのに、とは思う。

ISBN:4840208042 文庫 上遠野 浩平 メディアワークス 1998/02 ¥578

眠りの牢獄

2004年12月20日 ミステリ
出版社/著者からの内容紹介
階段から落ちて昏睡状態になってしまった女性をめぐり集められた3人の青年。3人は核シェルターに閉じ込められ、そこから出る条件は彼女を突き落としたのは誰なのか告白することだった。同時に外では完全犯罪の計画がメール交換で進行。ラストで明らかになるあまりにも異常な「切断の理由」。そして……!!

という内容紹介を読んで購入した次第。
岡嶋二人の「そして扉が閉ざされた」みたいなのを期待して買いましたが、ちょっと違ったみたいです。
閉じ込められた3人が中心になってミステリを解いていくのかと思ったら、外で行われている犯罪とのリンクによって真相が明らかになってゆく、というわりと自然解決型に近い展開でした。

この人の本ははじめて読んだんですが、とてもプロっぽい、職人っぽいミステリを書く人だな、と感じました。
ただ、真相に辿り着くまでにほとんど回り道なしで話がすすめられているところが、ミステリのカタルシスを損ねているような気がします。
個人的な好みとして、登場人物がいろんな仮説をたてて、ああでもないこうでもないと言いながら真相にたどり着く、といったものの方が好きなので。
長編にして耐えられるだけのミステリ要素を充分にもってる本書だけに、もったいないように思いました。

ISBN:4061821903 新書 浦賀 和宏 講談社 2001/05 ¥756
『作者が稚気あふれるかんじで自分の頭の良さをひけらかしているもの』
をミステリと定義しました(無茶苦茶だけど)。

一応、なんでそうしたか、理由のようなものも書いてみたいと思います。

すべての小説にはアイディア、発想というものが必要です。しかし、その中でも、ミステリには必ず入れなくてはならない種類の発想があります。
それは、読者を欺くための発想です。これがないとミステリになりませんから。
しかし、逆に言うと読者を欺く必要を求められるのは、ミステリというジャンルだけではないかと思うのです。

そこで、この「読者を欺く」ことがその小説の魅力と直結しているもの、ジャンルの必要性が枷とならず、魅力の本質となっているものを「王道ミステリ」と呼び、魅力そのものをミステリの定義としたい、と考えたわけです。

ざっと考えたところ、2つ見つかりました。

?構成力や論理性によって見せる、頭の良さ、みたいな魅力
?いたずらっ子的な稚気、子供っぽさ

?は却下です。なぜなら他分野の文筆活動でもその魅力を味わうことが出来るからで、むしろ評論などの方が、形式としては有利だと考えたからです。
残るは?です。私はこれがミステリの魅力の本質ではないかと考えました。

「無邪気さ」の魅力を文章によって表現するのは、実はかなり難しいことです。
それは、緻密さ、構成力、といった、面白い小説を書く上で必要となる能力が「稚気」ととても相性が悪いからです。
しかし、「読者を欺く」ことと「稚気」はとても相性が良い。とてつもない大トリックを考えて喜んでるなんて、稚気の塊みたいなもんですから。

この、他ジャンルと比べて有利な部分こそ、ミステリというジャンルの立ち位置であり、本質に最も近いものではないかと考え、上記の定義のようなものに落ち着いたわけです。

えらい長々と書いてしまった。

失踪HOLIDAY

2004年12月19日 小説
途中まで読んで断念。
なんか、ディティールに対する感覚が自分と違う感じがして、読みづらかった。頭の中にシーンのイメージ図が浮かびづらいってゆうのかな。
良作という評判が高い本書だけに、もう一度読み返すこともあるかもしれませんが、しばらくはいいや。

ISBN:4044253013 文庫 乙一 角川書店 2000/12 ¥580
ミステリ⇒推理小説=事件についての推理をテーマとした小説.
(三省堂 Web Dictionary より)

「ミステリの定義は百人百様」というのが定説になってるようなので、自分なりのミステリの定義、というものをここで述べさせてもらいたいと思います。
といっても、私のミステリの定義はとても簡単で、

『作者が稚気あふれるかんじで自分の頭の良さをひけらかしているもの』

です。
ものすごく偏ったものだとは自覚しています。そしてこの定義だと、世間的に「これはどう考えてもミステリの範疇だろう」と認識されている作品までこぼれてしまいます。ひょっとしたらミステリ全体の8割くらいは漏れてしまうかもしれません。
欠陥だらけの定義です。
第一、線引きが私のフィーリングによるものなので、定義ですらありません。好き嫌いです(まあ百人百様の定義なんてフィーリングと一緒なんで別に問題はないと思いますが)。
ですが、あれも認めるこれも認める、という風にとめどなく大きくなりすぎたミステリの範疇を偏狭にせばめてみる、というのは無意味なことではないように思うのです。
ジャンル分けで区切ったところで、問題は大きくなるばかりですからね(社会派ミステリと本格ミステリの境目は?とか)。
切り捨て切り捨て、できるだけ偏屈に振舞ってみたいとおもいます。
だって趣味の話だしね。 
アリス・ミラー城、ルイス・キャロルにちなんだこの城に、探偵たちが呼び寄せられた。目的はこの城のどこかにある、鏡の向こうかわに行けるというアリス・ミラーを見つけ出すこと。しかしアリス・ミラーを手に入れることができるのは、最後まで生き残った人間のみ。

というわけで、連続殺人が行われていきます。

騙された。
これは久しくなかったくらいの「騙され感」。
その騙し方がものすごくフェアで、感心する。文章の至るところに犯人のヒント(というにはあまりにも露骨な手がかり)がちりばめられてます。
そういえば1・2ヶ所、何か変だとは思ってたんですよ、読みながら。でもまあ多少のおかしさは作者の手抜りかな、とおもい誤魔化しつつ最後まで読んでいったら、詐欺だった。
稚拙や手抜りではなく、詐術だった。
この屈辱感。読み終わった瞬間「これはアンフェアなんじゃないか?」と読み直してしまいます。
この屈辱感を味わいたいがために、ミステリファンはミステリを読むんじゃないでしょうか。少なくとも私はそうです。

これは読んどいてよかったー。あと1年もしたら、もう本屋に置いてないかもしれないわけじゃない?ぎりぎり間に合った、ってかんじですよね。

ISBN:4061823094 新書 北山 猛邦 講談社 2003/05 ¥882

富豪刑事

2004年12月14日 ミステリ
なんか深キョン主演で来年ドラマ化されるらしいですね。
原作がかなり面白いんでそこそこ期待してしまいます。

さて、本の方なんですが、天才筒井のミステリらしく画期的な探偵(刑事)が出てきます。
全部金で解決。
湯水のごとく金を使って解決。
トリックなどはわりと平均的というか、とりたてて見所もないものですが、ミステリとしては読み応え充分。
ミステリ嫌いを自称している人間に書けるようなクオリティではありません。才能でしょうね。

それはそうと設定が割と似ているのが、「俺の空(刑事編)」
たしか、安田一平は政治権力を笠に罪から逃れようとする悪者の目の前で総理に電話するんですよね。
「おい、おめえそりゃあ総理大臣じゃねえか!」
「つまらんッスよ」って。
本宮先生も天才です。

ISBN:4101171165 文庫 筒井 康隆 新潮社 1983/01 ¥460
というわけで深作監督の遺作となりましたBR?です。
何かと駄作扱いされていますが、これは傑作です。
世間的な評価はともかく、私はこれに匹敵する映画は日本に10本もないくらいの大名作だと思っています。

まず、最初のシーンから。
東京の街らしきものが映し出されます。「これ、始まった瞬間いきなり全部破壊されたらおもしろいよね」なんて思ってた矢先に、

街全部壊れた!いきなり!

否が応にも期待をさせられてしまう出鱈目なオープニング。
これ以降も素敵なシーンがもりだくさんです。

?竹内力の最後の授業は「アメリカが今までに空爆した国の名前を黒板に書き連ねる」こと。
?敵地に乗り込むまでに既に半数以上の生徒が殺されてる(完璧な犬死)。
?話の途中で突然「あの国」のご不興を買ってしまい、日本にミサイルが落とされそうになる。
?竹内力が突然ラガーシャツで現れて、何もない地面にトライした瞬間首が吹っ飛ぶ。

深作組はすごい!まったく理不尽な暴力加減。?とは比べようもない悪ふざけ。これこそバトル・ロワイアルの世界観!

この作品には何ら意味やテーマなんかありません。あるのはアクションシーンだけ。
きっとそれでいいんです。
お話に「テーマ」とか「伝えたいこと」なんて求めるのは、人生を充分楽しめなかった庶民だけです。
一生を、あっても無くてもいいようなエンターテインメントを作ることに費やせた天上人には、こういう作品こそが相応しい。
深作欣二監督に捧げる作品としてこれ以上のものは無い、と思います。

DVD 東映ビデオ 2003/12/21 ¥4,935
これはクイックジャパンで大推薦されてたんで、本屋でみつけてすぐに買いました。面白かった。未読なら読んで損はないと思う。ラブもサスペンスもミステリ的要素もてんこもりの良作です。

しかし映画のほうに対して残念なことが一つあります。それは原作の方では、担任の教師は明らかに3年B組金八先生をモデルにしてるのに、たけしがその役をやってること。
わかります。確かにここで武田鉄也は出演しないでしょう。出たら金八先生もうできないですから。でも、たけしがここで出るとなんか映画に「含蓄」がでてきて良くないと思うのですよ。

原作のウリは、金八が楽しみながら生徒たちを殺し合わせるという軽薄な悪趣味であって、それゆえそんな理不尽に巻き込まれた悲惨さが浮き立ってくるというのに、たけしがやると単なる悪ふざけで殺し合いをさせてるというより、何か意図や覚悟があってやらせてるという感じになってしまいます(実際そんな演出だった)。たけしには観る者に人間的度量を感じさせる、そんな含蓄がありすぎるのですよ。
この話には不要なのに。

それはいかんよ。深作さん。原作はそんな重っくるしい物とは無縁だったはずだよ。もっとポップに殺し合いを描こうよ。

・・・・・・・なんてことを考えてたらいつの間にか2が出てました。これについてはまた明日。

ISBN:4872334523 単行本(ソフトカバー) 高見 広春 太田出版 1999/04 ¥1,554
タイトル買い。

ISBN:4396206844 単行本(ソフトカバー) 鯨 統一郎 祥伝社 2000/03 ¥900
これはね、間違いなくおもしろい。
綾辻行人と島田荘司が本格ミステリ論を戦わそうとしてるんだけど、明らかに島田の方が空回りしてるんだよね。
いや本当は空回りなんかしてないのかもしれないけど、世代的に近いぶん綾辻が言ってることの方がよく理解できて、無茶を言う先輩に対してどうしても納得ができない後輩、みたいな構図に見えます。
あんまり強情な綾辻の態度に次第に機嫌をとるようになってゆく島田荘司の態度が爆笑ものです。笑っちゃいけないのかもしれないけど。
個人的にはすごく情熱的に若い人に期待しちゃう島田さんが大好きです。


この本の企画意図はおそらく、新旧のミステリの旗手に「本格とは何か」を問うものだったと思うのですが、そんな綾辻ももう旧世代の人となってしまいました。今度はわかりやすく次の世代交代を表して「綾辻行人×乙一」みたいなのやってくれたらいいのに。
乙一は本格の人ってわけじゃないけど。もう少し先の話かな。

ISBN:4041682037 文庫 綾辻 行人 角川書店 1997/12 ¥546
京極夏彦の密室もの。「姑獲鳥の夏」と並ぶ傑作。この2作を書いただけでもこの人はミステリ史に残る価値がある。
密室のトリックが分かると同時に背筋が寒くなる。そういう意味で系譜的にはクイーンの「Yの悲劇」に連なる作品。と思う。


これはねー、えずいよ。感心する。えずさに。多分もう読めないけど(精神的、時間的に)。

ISBN:4062646676 文庫 京極 夏彦 講談社 1999/09 ¥1,020

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